ゆで卵の中で、黄味と白味が逆なっている不思議な卵料理、「黄味返し卵」。
記載されている「万宝料理秘密箱」の方法では、作ることができません。

でも、当時はできたんです。だから載っているんです。

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実は、江戸時代の卵は有精卵。現在売られている卵は無精卵。
この違いが、できるできないの差だったんです。

有精卵は、成長の過程で、黄味が周りの栄養を吸い取って、だんだん大きくなるんだそうです。
白味は水分を取られて小さく堅くなる。

糠味噌に浸けておくと、糠の発酵温度が38度で、ちょうど親鳥と同じなんだそうで、卵が成長します。
黄味が大きくなった状態で、針を刺して黄味を割ると、白味が黄味の中で浮遊している状態になります。

そのまま茹でると、「黄味返し卵」ができるわけです。

では、無精卵ではできないのか。
できるんです。考えた人がいます。暇なのか偉いのかよくわかりませんが、遊び心だけは十分持っています。
京都女子大の、八田一教授です。

教授の考えた方法は、

1)卵をストッキングに入れ、両端を手で持って高速で回す。
2)懐中電灯で透かして見て、卵が透けて見えなければ成功。
3)菜箸で転がしながら茹でる。

ただ、この方法で完璧に作るのは難しいそうです。

何年前になるのかも忘れてしまったんですが、この方法が発表されたときに、TVのニュースで報道され、再現実験もやったのを見てたんです。

江戸時代に、黄味と白味が逆のゆで卵を創ろうと思いついた人がいて、それを完成させ、本に載せ、200年近くたってそれを読んで再現させようとして、別な方法ではあっても再現に成功した人がいる。

なんとも愉快な話はありませんか。

*『謎解き 江戸のすすめ』より。

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