「灰干し」、読んで字のごとく、灰で干したものです。

灰といっても、炭火の灰ではありません。火山灰です。

干すものは魚や肉。

NHKBSの九州を紹介したある番組の中に九州南部のシラス台地の灰を使った灰干しの牛肉が出てきたのですが、
臭みがなくてやわらかくて、うまいッ、んだそうです。
残念ながら、食べたことがありません。

もっとも、牛肉はあまり好きじゃないし、高そうなんで、それほど食べたいとは思わないのですが…

このことが頭の隅に残っていたのか、
灰干しのサバを見つけた時、思わず買ってしまいました。
食べました。
うまいんです、これが。

どううまいかって、
臭みがなくてやわらかいんです。

魚は天日干しにするとうまみが増すうえ、保存がきくので、
日本には数多くの魚の干物がありますが、
独特の臭みがあって、どうにもいけません。
食べるとすればみりん干しなんですが(こちらは好物です。)、みりんの甘さが加わっていますから、さかな本来のうまさとはちっとばかり違うような気がしないでもありません。

干もの独特の臭みは、日干しにするとき、空気中の酸素が悪さをするからなんだそうです。
食べ物の劣化は、ほとんどがこの酸素が原因のようです。
機械乾燥や天日干しでは常に空気に触れているので、特に酸化しやすくなっています。

灰干しにはそれがありません。
灰で干すことで、空気に触れないようにしているからです。

灰で干すと何がいいのかというと、
灰には脱臭、脱水効果があるからなんだそうです。
炭に脱臭作用があるのと同じ原理だそうですが、
脱水効果で魚の身の中にある遊離水というものを除いてくれるんだそうです。
遊離水というものがどういうものかよくわかりませんが、
食べておいしくなっているのですから、ないほうがいいもののようです。

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